
白山に登る登山道を登拝道と言います。
登拝とは何か?
信仰の対象である山、神様に会うために登ることが登拝です。
いにしえより山岳信仰が盛んだった日本において、信仰の対象になる山は霊山と呼ばれていました。
中でも富士山、立山、白山の三つの山は日本三霊山として崇められてきたわけです。

白山に至る登拝道は主に三本あり、かつては越前禅定道、美濃禅定道、加賀禅定道と呼ばれ、文字通り越前国、美濃国、加賀国を起点としていました。
その中で越前禅定道は現在では白山禅定道という名称に変わっています。
三本の禅定道の中では最も多くの人が登っている道ともいえます。
ここでは三本の禅定道をご紹介してゆきます。

越前禅定道

越前禅定道の起点は現在の福井県勝山市にある平泉寺白山神社です。
平泉寺白山神社は、白山を開山した泰澄大師によって創建された白山信仰の拠点の一つです。
泰澄大師が平泉寺境内にある「御手洗池(おみたらし、平泉)」の辺りで祈っていたおり、女神が、泉の中の影向石(ようごいわ)に出現、白山登拝を促したと言われています。

平泉寺に関しては三つの馬場の項で詳しく取り上げてゆきますが、参道を進んでいくと、拝殿や本社がありさらにその先に進むと三の宮があります。
三の宮の左に越前禅定道の起点があります。
そこから法恩寺山までの登山道は現在でも歩くことが可能です。




越前禅定道は、ここから伏拝までは進めますが、その先から小原集落に降る道は藪化して廃道になっていました。
しかしながら、近年再整備が進んでいるようです。
この点につきましては最優先で調査を進め追って報告します。
小原集落からは小原峠を経て川上御前を経由し、白峰の三ツ谷(秘密谷)へと下ります。
そこから市ノ瀬までは林道を進み、そのあとは六万山、指尾山を越え慶松平に至り、さらに現在の観光新道を経て白山山頂へと続きます。




美濃禅定道
美濃禅定道は、岐阜県郡上市白鳥町長滝の長滝白山神社を起点に、石徹白にある白山中居神社を経て石徹白川沿いに進み、現在の登山口であるいとしろの大杉から、おたけり坂を登り、銚子ヶ峰へと進んでゆきます。




その後、一の峰、二の峰、三ノ峰を経て白山別山にいたり、南竜ヶ馬場に下り白山山頂御前が峰へと進む道です。

加賀禅定道
加賀禅定道は白山市鶴来町の白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)を起点として、白山市中宮の笥笠中宮神社(けがさちゅうぐうじんじゃ)を中間地点としていましたが、現在では尾口一里野地区まではほとんど車道になっています。


一里野から奥は一部を除いて昔の山道を辿る事ができます。
古道はハライ谷の沢沿いに登るルートでしたが、後に加賀新道と檜新宮参道コースの尾根沿いのルートに変更されてゆきます。
二つのルートはシカリ場分岐で合流し、後はヤセ尾根のアップダウンを繰り返す日当たりの良いコースを進んでゆきます。
その後、口長倉山、奥長倉山、美女坂、百四丈ヶ滝、天池を経て四塚山、七倉山、大汝峰、白山山頂御前峰へと続きます。




